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【映画】『この世界の片隅に』

今年は今までにないくらいたくさん映画を観に行っている。

新作映画は、園子温の『ひそひそ星』からはじまり、『シン・ゴジラ』、『君の名は。』、『ハドソン川の奇跡』。

あとは名画座で、『団地』(阪本順治)と『海よりもまだ深く』(是枝裕和)の二本立て、そして『㊙︎色情エロ市場』(田中登)と『仁義の墓場』(深作欣二)の芹明香特集二本立て。

 

館で映画を観ることのよさを再認識・・・というか、はじめて知ったかもしれない。

そのきっかけは、なんといっても『シン・ゴジラ』だ。

素晴らしい映画だと思った。

あの映像。あの音楽。

そして何より、時代の空気をしっかりと受け止めて作られてる。

映画館で観た映画でいうと、生涯ベストといっていいんじゃないか。

そのくらいよかった。衝撃を受けた。

 

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好きなブロガーさんが紹介していて興味を持ったのがきっかけで、『この世界の片隅で』を観に行った。

豊島園のユナイテッド・シネマ

観終わった。そして帰った。

 

今年観た他の映画は『シン・ゴジラ』も含め、たいてい観終わったあとで、Youtubeに上がっているラジオ評論(たいてい宇多丸師匠、たまに町山さん)を聞いている。

自分の感想と照らし合わせながら、そうそうと頷いたり、ほほうと感心したりして評論を聞くのが楽しいんだ。映画一本で二度おいしい。

 

でも、『この世界の片隅に』に関しては、タマフルも町山さんも聴いていなくて、Youtubeに「はいよ!お待ちかねのやつ!」的にレコメンドされても、「いや、まだ聴かないでおく」とうっちゃっている。

なぜだろう。

 

自分があの映画を観て考えたこと、感じたこと、「まだ言葉にはなっていない何か」を受け取ったこと。

そういうものを大事にしたいと思っているのかもしれない。

 

例えば凄い小説というのは、読んだその時は漠然とした感動だけが残って、何故自分が感動しているのか分からないということになるけれど、その後人生のさまざまな場面で顔を覗かせて、「あ、あの小説のあの一節はこういうことを言ってたんだ」とその感動の意味を突然気付かせたりする。

 

そういう、自分の中で時間をかけて育って行くような作品。

そういう作品だぞこれはと思ったから、ひとの評論や感想をまだ見たくないし、また同じ理由で、自分の感想をまだはっきりと書くことができないでいる。

 

ひとまずは一個だけ、感動したシーンのことを書いておく。

主人公のすずが、隣組のおばちゃんに教わった料理を作っているシーン。

作ってるのは、ふやかして嵩を何倍にもしたスカスカのご飯だったり、家の周りに生えている雑草で作ったおひたしだったりする。

そういう料理を作りながら、すずがすごく楽しそうなんだ。

これには参った。

生活を楽しむことが、人間の強さだと思った。

食べたり、もんぺを誂えたり、絵を描いたり、そういうことを「楽しくやる」ということの、すさまじい強さ。

強くて、そして、とても美しいものを見ていると思った。

 

それで泣いちゃった。